【ポーション・パーミット】レビュー

ポーション・パーミットタイトル画像 ゲームレビュー
開発MassHive Media(インドネシアの会社)
出版PQube(イギリスの会社)
プラットフォームWindows, Switch, PS4, PS5, Xbox One, Xbox Series, AmazonLuna, Android, iOS
(このレビューは「iOS版」をもとにしています)
リリース2022年9月:Windows, Switch, PS4, PS5, Xbox One, Xbox Series, AmazonLuna
2024年2月:Android, iOS
ジャンルアクションRPG, ライフシミュレーション, ソーシャルシミュレーション

このレビューは「iOS版」をもとにしています。他機種とは細かい違いがあるかもしれません。ご了承ください。

薬師として薬の素材調達・調合・処方をしつつ、塩対応の住民たちと根気よくコミュニケーションをとり、あわよくば村の三分の一の住人と男女問わず恋仲になり(?)、なおかつ村の問題解決を目指して奔走するゲームです。

おたむん自画像

著者:おたむん
2024/10/31

おたむん
おたむん

Switch版の発売当初から目をつけていて値下がりを待ってたけども中々下がらず
そうこうしてるうちにiOS版が発売され、値段も安かったので、画面の小ささに不安を覚えたものの
我慢できずに買ってしまいました。

予想以上にはまってしまったものの、日本語の攻略サイトが少なく
「ないなら作ってしまえ!」とこのサイト開設のきっかけになったソフトです。

グラフィック4.0味のあるドット絵。敵となる野生動物も含めキャラクターがかわいい。
サウンド3.0可もなく不可もなく。ゲームの邪魔にならない静かなBGMといった感じ。
ストーリー4.0壮大ではないが、違和感のないストーリー展開。フレンドクエストが充実している。
システム4.5作業感もあるが、個人的には好き。調薬も診察もある程度回数を重ねると省略できるようになる。
操作性2.0スマホ版は十字キーが扱いづらかった。慣れていないだけかも。
・グラフィック

ぬくもりを感じるドット絵。ちょこまか動く村の住民も、襲ってくる野生動物もかわいい。
キャラクターは表情の変化に乏しいが、かわりに吹き出しで感情を表しているので無機質には感じない。
薬や料理、魚などに多様なデザインがありリストを埋める楽しみがある。
とくに薬はイベントで一度しか使わないものにも凝ったデザインがあり、こだわりを感じた。

・サウンド

BGMはプレイ中良くも悪くも気にならなかった。
聞き惚れることもなく邪魔になることもなく、うっすら背景に流れている感じ。
その分SEが良かったと思う。素材を刈り取るときの鎌の音や、岩を割ったときの岩が崩れる音、扉の開けしめの音など
まるで自分がその操作をしているような没入感があった。

・ストーリー
メインストーリー

前任の薬師によって荒らされた(と思われている)村近辺の自然を、主人公の薬師としての力で一つ一つ回復していくことで、村の一員として認められていくお話。
ストーリーが進むごとに探索できる範囲が広がり、新たな薬を作ることができる。
問題の解決方法も薬の研究と調合によるものがほとんどで、能力を活かしている感じはある(主人公が少し優秀すぎるような気もするが……)。
ストーリークエストの薬の調合は普段処方している薬と大差ないのでとくに行き詰まることはないが、場合によっては調合釜の容量を増やさなければいけないのと、新たなエリアを切り開くためとで大量の木材と石材とお金を必要とするため(スマホ版はこれでも少し楽になっているみたい)採取作業も並行して行うことになる。
フレンドクエストを先に進めていると完全に住民と和解した感じのエンディングが見られるが、そのあとにメインストーリーを進めると、中々の責められっぷりで築き上げた信頼はどこへ行った?みたいな矛盾が発生する。
最終的にすべての問題を解決するとみんなで宴会、大団円みたいなイベントが発生するとはいえ、ストーリーを重視する方は先にメインストーリーを進めるほうが違和感はないと思われる。

フレンドクエスト + 恋愛

塩対応の住民に根気よく話しかけて友好度を上げると、住民ごとにフレンドクエストが発生する。
通常の住民で2回、恋愛対象の住民(現在10名)は3回+告白イベント。
クエストの内容は様々で、面倒くさいアイテム集めを求められたり、薬の処方だったり、ただイベントを見るだけだったり。
住民はネコを含めて33名で、それぞれにイベントがあるので中々の数だと思う。それぞれの人となりがわかるイベントで、全員分見たくなる。
ある程度プレイすれば住民の生活パターン移動パターンが見えてくるので友好度も上げやすくなるが、居場所は分かっているが村から離れた場所で引きこもって生活している者もいるので意識的に会いに行かないと中々上がらない者もいる。(おまえのことだぞ、マ◯オ!)
住民との友好を深めていくと、街をきれいに修復していくイベントが何度か発生し、ほとんどの住民との2回目のクエストをクリアしたあたりでスタッフロール付きのエンディングが発生するがエンディング後もプレイは続けられる

特定の住民とは3回目のクエストクリア後にムーンブローチを渡して告白すると(相手によってはクエストが発生するがそれをクリア後)恋人同士になれる。話しかけたときのコマンドに「デート」が増えて、一日一回いつでもどこでもデートに誘い出せる(例え相手が仕事中であろうとも!)。
デートといっても決まった会話もなく感情を表す吹き出しだけで進んでいくイベントを見るだけだが、これが案外良かった。セリフがない分、会話に想像の余地があり同じ場所でのデートでも既視感が少なく感じる。デート先は一人につき3パターンあるが、何故か全員「ヤナギの湯」での混浴デートは組み込まれている。
お付き合いは男女問わず何人とでもOK。なんのペナルティもなく、なんなら10人全員とお付き合いできます。全員とお付き合いできるのです!(大事なことなので2回言いました)ケモノとコドモと自分を除けば30人しかいない村で10人とお付き合いする。中々の猛者ですが普通に可能。しかも魚や料理のリストを埋めたければ股がけプレイはほぼ必須。夜の酒場は彼氏と彼女がひしめいています。

サブクエスト

いくつかの条件を満たすと発生するイベント。正確な条件は不明だが、ストーリークエストを進めることが主な条件になっているように思う。住民の友好度が関係あるかは不明。
条件を満たした状態で特定の場所に近づくか建物の中に入ると発生する。
フレンドクエストと同じように、薬を調合して渡したりアイテムを集めたりなどでクリアできるが、こちらのほうがより住民同士の関係性などが見られるものが多く、村の一員として手伝っている感があって楽しめた。
クリアしても友好度は上がらないが、多くの場合ムーンクローブをもらえる。また、一部のクエストでは料理のレシピがもらえる。
また、クエストとは違いただ眺めるだけのイベントもいくつかあり、そこでも料理のレシピがもらえるものがある。

・システム

・主人公について
キャラクターメイキングでは男性っぽいあるいは女性っぽい見た目のどちらかを選択するが、性別は明言されていない。
それぞれ髪型が4種類、髪の色が14色選べる。肌の色も濃淡14色。その他目の色、服の色、首に巻いたケープの色も選べるがゲーム上ではあまり変わり映えしない。
名前も変更できるが残念なことにアルファベットしか使えない。会話中でも他の登場人物は普通にカタカナで表示されているが、何故か主人公とペットの犬(こちらも名前変更可)の名前だけはアルファベットで表示される。プレイしているうちに慣れたが、最初は違和感が強かった。
言葉を発することはなく基本的に感情を表す吹き出しを駆使して会話をする。口を動かす吹き出しで話をしている様子はあるが、言っているであろうことは大体相手が復唱してくれる(「そうか、キミは◯◯だと思うんだね」みたいな)。
性格は前向きで真面目でお人好しで誠実(プレイによっては恋愛には不誠実だが)。頼まれ事は断らないし、何にでも首を突っ込んでいくスタイル。塩対応にもくじけない鋼のメンタルの持ち主。

・採取 戦闘
鎌・斧・ハンマーを使い分けてフィールド上のアイコンにダメージを与え素材を得るというのは採取も戦闘も同じ。
採取は硬さの違いはあれども抵抗されることはないが、戦闘の場合は相手の反撃があり、なんなら向こうから襲ってくる場合もあるため、体力のゲージに注意が必要。体力(左上緑のゲージ)がなくなると気絶して翌日の正午スタートになる。
道具を使える回数にも制限がありスタミナ(左上青のゲージ)がなくなると使えなくなる。
素材、モンスターともに翌日になれば回復しているが、木材と石材以外の素材は一つのアイコンからは一つしかとれないため、こまめに集める必要がある。
ペットの犬はなでたり餌を与えて友好度をMAXにするとフィールドごとに決まった食品を入手してくれるようになる。フィールド上の不自然なくぼみに近づくと勝手に近づいて掘り出してくれる。

・調薬 診察 研究
このゲームの最大の特色である薬の調合。薬ごとに決まっているマス目の中に、手持ちの素材から形の合うピースをはめ込んでいく。この作業は結構楽しい。
調合釜のレベルによって使えるピースの数が限られてくるので、レベルの高い(多くのマス目を持つ)薬は、同じく多くのマス目を持つ素材を使うか調合釜のレベルを上げてより多くの素材を使えるようにする必要がある。同じ薬を5回作るとレシピ登録できるようになり、その薬を簡単に複数作れるようになるがそれまでが面倒くさく感じる人も多いだろう。レシピは最初から使えても良かったんじゃないかと思う。
ゲームを進めると数日に一度くらいの割合でクリニックに患者が運び込まれてくるようになる。まずは診察をして必要な薬を特定してから処方することになるが、この診察が3種類の簡単なミニゲーム式で、数をこなしているとこれまた面倒くさくなってくる。救済策として調合で「血清」を作ればミニゲームを飛ばせるがこれにはクリニックの改装が必要になる。
また一部のクエストでは薬の調合の前にその薬を生み出すための研究が必要になる。これは調合や診察ほどの頻度ではないが、ゲーム性が薄く作業感が強い。

・トラベルポイント
ムーンベリータウン内に3ヶ所、各フィールドにそれぞれ2ヶ所「トラベルポイント」という名の旗が立っていて、一度その旗に触れて起動すると以後建物内以外ならどこからでもその旗へと移動できる。移動が非常に楽になるので見つけたら積極的に起動しておくべき。
欲をいえばタウン内にはもう少し数を増やしてほしかった。市役所前とヤナギの湯前にあると便利だし、市長の家付近にも欲しい。

トラベルポイントの旗
クエストボードの場所

・クエストボード
市役所1F左上にあるクエストボードは開始から数日たつと使えるようになり、依頼を達成すれば報酬をもらえるようになる。内容はフィールドで入手できる素材の提出がほとんど。あとは町中のゴミや蜂の巣の回収が一つ、釣り上げた魚の肉が釣りレベルに応じて数件。
提出する素材の内容は探索できるエリアが広がればそれに応じて種類が増えていく。
月曜日に新しいクエストが張り出され古いものは期限切れになる。
報酬はお金といくつかのアップルジュース。序盤のいい金策になるので毎週チェックしておくとよい。アップルジュースも探索で地味に役立つのでおすすめ。

・操作性

ゲーム画面左下に十字キーの用途の円。右下には各種アクションボタンが配置されている。スマホゲームはこういうものなのかもしれないが、コンシューマー機のコントローラーに慣れた身としては非常に使いにくかった。
当然のことながら出っ張りがないので、すぐに指の位置がずれ、思った方向へ移動できない。アクションもいちいちボタンの位置を確認しないと押せない。
この手の操作方法になれている人ならば問題ないのかも。
町なかでのアクションボタンの役割は、対象が人ならば話しかけたり対象がベンチなら座り対象がドアなら開けたり閉めたりとファミコンでいうところのAボタン。対象が複数近くにある場合は対象切り替えボタンで切り替えてからアクションボタンを押すのだが、対象を選ぶときの文字が小さく今何を選んでいるのかが分かりづらいことがあり、話しかけるつもりがベンチに座っていたことが多々あった。
フィールド上ではアクションボタンは道具ボタンに変わり、道具切り替えボタンで鎌・斧・ハンマーを切り替えて進む。
戦闘時には道具ボタンを押して敵に攻撃するのだが、攻撃を回避する方法としてローリングボタンが用意されている。それを押すと進行方向に回転して攻撃をかわせる……らしいのだがうまくいったためしがない。結局道具ボタン連打でゴリ押しするはめになる。
住民との友好度をあげる会話はアクションボタンで話しかけた後、さらにリングコマンドで「話す」を選ぶ必要がある。そして会話を終えて別れるときにもリングコマンドで「別れる」を選択しなければならない。この作業はもう少し簡素にできなかったものかと思う。

・生き生きとしたキャラクター
 ドット絵のキャラクターが町を動き回り、仕事をしている人、遊んでいる子ども、サボっている警察官など生活感が感じられる。曜日ごとに決まっているとはいえ、毎日同じ時間に同じところにいるわけではないので探すのに苦労することもあるが、それはペットが助けてくれる。
・ストーリーに違和感がない
 最初は都会の薬師というだけで嫌われている主人公が住民と交流をかさね問題を解決していくことで、前任の薬師への誤解も解き、皆に受け入れられ町の一員となっていく過程が楽しめた。
・クエストが豊富
 ストーリーの基幹となるメインのクエスト以外にも、サブクエストやフレンドクエストが豊富にあり飽きさせない。お使いのようなクエストもそれが必要な理由付けがあり作業感を感じなかった。
・調薬のパズルが楽しい
 手持ちの素材でパネルの空きを埋めていく調薬の作業が楽しかった。レシピも、普段の自分の活動ルートで手に入りやすい素材を考えて組み合わせをつくり、効率の良いレシピを考えるのが楽しい。レシピの枠が3つあったのも良い点だと思う。
・素材の採取が楽しい
 フィールドで素材を集める作業が楽しい。一度に取れる数が少なくてクエストによっては何度も通わなければならないが、一日の時間制限がある中でこの素材とこの素材を集めてこの野生動物を倒して…と計画を立てて日々を過ごしていく。またそこに別のクエストが入ってきて計画を練り直すのも楽しい。実際はクエストボードのクエスト以外は期限がないので焦る必要もないが、それでも効率の良いルートを考えて思い通りに進めると達成感がある。
・リストを埋める作業
 メニューの中にいろいろなアイテムのリストがあり埋まっていく充実感がある。ほとんどは普通にプレイしていれば埋まるが、魚・料理などの一部や人物紹介などはフレンドクエスト・サブクエストの進行を必要とする。
・デート
 人によっては「この程度?」と思いそうだが、短いデートのイベントがよかった。セリフがなく吹き出しで感情を表しているだけだがその分想像の余地があり、全員どの場所でのデートでも最後にほっぺかおでこにチューをして終わる。これがかわいくて良かった。

主人公の名前がアルファベット表記

・主人公の名前だけがアルファベット表記
 登場人物全員がアルファベットならまだ納得できたが、なぜか主人公とペットの犬の名前だけがアルファベット表記。住人との会話でも他の住人はカタカナで呼ばれているのになぜか主人公だけ…。
・セーブが朝起きたときのオートセーブしかない
 これは本当に困りました。クエストがいくつも重なっていると一日の仕事量も中々のものになりますが、途中でセーブできないのでとにかく一日を終えるしかない。しかもオートセーブなのでリアルでプレイ中に寝落ちしようものなら、気づけば翌日の正午に起床でセーブ済みになっている。
・リングコマンドが手間
 住民に話しかけた後、友好度を上げるためにはそこからさらにリングコマンドで「話す」を選ばなければならず、また別れる際にも「別れる」を選ぶというシステムが手数が多すぎると感じた。

セーブデータの表示

・セーブデータの進行度
 すべてのリストを埋め、全員と恋人になりデートもすべて見てその他思いつく限りのことをしてみたが、セーブデータに表記される進行度のような数字が98%以上増えない。
・釣りのミニゲーム
 一匹釣り上げるのに時間がかかりすぎる。上下の柵に引っかかると竿を引いても引っ張れなくなり無駄に時間だけがすぎることがあり、ストレスがたまる。釣り上げた後のリアクションにも無駄に時間がかかる。
・家の模様替えの不自由さ
 家具の種類が少なく、例えば4種類ある長テーブルでも違いがわかりにくい。全部の家具が回転できるわけではなく、回転できるものも正面か横向きかの2択で配置が限られる。花びんはあるが、花の入った花びんがない。何より家具を揃えるのにかなりの費用と木材石材がかかる。
家具をいろいろ配置した部屋

 細かい不満点は確かにありますが、個人的には非常に楽しめた。一通りリストを埋め終わってから、レビューのためにもう一周が苦も無く始められるほどに。
 木材石材とお金を稼ぐのが確かに少し苦労したがスマホ版は先行機種よりも楽になっているらしいので、作業が苦手な方でスマホでの操作が苦にならない方はスマホ版がいいかも。一番苦労したのは実績の「石の達人」を達成するところで、これのためにゲーム内時間で数日間バレン・ウェイストランドに通って石を割るだけの日々が続き、最後に石を割って終了という地味なゲームの終わり方になった。
 楽しめた要因を振り返ってみると大きいのはサブクエスト・フレンドクエストの充実にある。作業になりがちな進行の中でも次々とクエストが発生してそれをクリアしていくうちにメインのクエストで必要な素材も溜まり、次に進めることも多かった。住人もバラエティ豊かでそれぞれがそれぞれの悩みを抱えていたりして、その解決の手助けをしたり、話を聞いてあげたりしているうちに、本当に村の一員になったかのように感じられた。
 実際のクエスト内容は、素材を集めたりアイテムを渡しに行ったり話を聞きに行ったりという「お使いクエスト」ばかりなのでそれが苦になる方にはおすすめできないが、そうでない方には是非一度プレイしてもらいたい。お気に入りの住民が一人や二人は必ずできると思うので。